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歌い方がわからなくなったら、体に聞け。

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Hiroshi Yoshida

2017-10-16

歌い方の正解みたいなものはありません。まして、商業的な成功と歌の種類には何の関係もありません。だからこそ、自分はこれ、と自信を持って歌えることが大切。それでもわからない迷宮に迷い込んだ時のヒント。

ただひたすら気持ちいいという感覚に従う。

これもかなり個々人のセンスによる問題と片付けられがちですが、あなたが出している音を一番体で感じているのはあなた自身。

あなたの体が気持ちいなー!と思っている時はだいたいいい声になっていると思います。

それがそうならない時、それはだいたい頭で考えてこうしなきゃ、こうすべきとか思っている時。そして単純に喉が苦しい、呼吸が苦しい、という時。

でも練習しすぎたり、余計な知識を蓄えすぎたり、理想が高すぎたりするとだいたいそういう負のスパイラルに陥りがち。

そしてさらに、自分一人で全てを判断しようとすると、自分の理想と現実がかけ離れすぎて、自分の良さがわからなくなりがち。

そうやって一人で泥沼に入っていく人が多いですね。

僕も長らく一人で練習してきましたので、気持ちはとてもわかります。理想の歌手の歌を練習するけど、何回やっても思い通りにならない・・録音しても声質もかけ離れていてどうも自分の声はいいと思えない・・しまいにはいらいらして叫び始めるw

わかりますよそんな気持ち。でもまあそんなことを続けていても新しい道はひらけないと思います。

自分の魅力を信じれるのは、多少なりとも他人が評価してくれるから。

で、結局ここにもどってくるんですが、みんな最後にはだれかにいいね!感動した!といって欲しいんです。そうじゃないといくら自分の理想に近づいたと一人で思っていても何の意味もない。

少なくともプロになろうと思うなら人様からお金をいただいてなんぼ。誰かが認めてくれないと誰もお金を払ってくれません。

だいたい、歌を歌い始めたきっかけってたどるとなんでしょう?おそらく誰かの歌を聞いて感動したから、それを真似するところから入ったのではないでしょうか?

そこにすでに答えはあると思うんです。誰かの歌を聴いて感動して歌い始めた、つまりそんな風に自分も誰かを感動させられるような歌を歌いたい。違いますか?

・・まあそれでも頑なに、いやその声だけ真似できればいいんだ、とかいうような人もいますけどね。そんな人はもう勝手にしてくださいw

結局歌いたい、というのは誰かに届けたい、何かを外に向けて発信したい、そしてそれをできれば誰かと共有したいという気持ちとセットなんだと思います。

誰もがいろいろな人の影響を受けて歌い始め、最後には個性を獲得していくわけですが、その個性とはまさにその人の人生そのもの。歩んで来た道、出会って来たもの全て。それが何かしら歌に反映される。

それは誰かと似たような人生かもしれませんが、全く同じものは一つもない。そしてもう一つの大きな個性はあなたの体。

一つとして同じじゃないあなたの体という楽器から発せられる音は一つとして同じじゃない。だから絶対にあなたはそれを活かす方向に考えるべきで、封印するべきじゃない。

ボイストレーニングで解決できる問題はたくさんありますが、固有のサウンドというのは最後までなくならない。だからそれを愛せるようになるために、あなたはあなたの声を好きだといってくれる誰かに出会うべきなんです。

どんな声であっても、必ず好きになってくれる人がいると思います。なぜなら本質的に人間の発する声なんてどれも似たようなものだから。

問題になるとしたら、やはり発声、歌い方の癖、スタイルなどでしょう。それはどうしても好き嫌いが出てくると思います。

というわけで、話が長くなりましたが、最後に迷ったら、考えるのをやめて自分の体が気持ちいいと感じている感覚に従いましょう。それを見つけるヒントとして、ボイストレーニングは有効だと思いますよ。