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世界と自分が交差する点を探し続けて。

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Hiroshi Yoshida

2021-5-6

どんな方向性で活動したらよいか?という迷いは、誰もが抱えることですが、そこで迷わずに貫けるために。

そもそもそれを探すための活動なんだ。

世界は生きづらいですね。というといきなりネガティブに聞こえるでしょうか?しかしそれこそが僕は芸術の本質だと思っていて、この生きづらい世の中で行き場のない感情の行き所こそが歌であり、芸術であるのだと思います。度々引用する夏目漱石の草枕の冒頭の句にもあるやつですね。

すなわち、その生きづらいという思いを吐き出したときに、同じように生きづらいと感じている誰かの心に刺さる。芸術にはそういう役割がある。だからこそ、普遍的な人間の心の奥底にある本質、本音、そんなものこそが意味を持つんだと思います。

さてそんなことを踏まえながら、アーティストとして生きていこうと思う人にはものすごい矛盾した試練が訪れる。それは、この生きづらい世の中を生きづらくしている原因ともいえる、お金、名声、社会的信用、人気。そういった社会、世間の価値観に認めてもらえないとさらに生きづらい、という状況と常に戦わなければならないんですね。

僕も痛いほどわかりますが(笑)ある意味でアーティストが最も得意ではない、人に気に入られてお金を稼ぐという問題をクリアしなければ、結局同じところでループすることになる。そこにまた心を痛めてしまう人も多いですね。

さて、そんな状況でもどうやって心を保ってやり続けるか。それを考えるときにいつも思い出す、久保田利伸さんが言っていたことがあります。それは 「世間が求めることと、自分がやりたいことの間を常に狙っていく」という考え方。 世間に100%合わせてしまったらモチベーションも上がらないし、自分が誰かもわからない。でも、自分の価値観だけでやり続ければ世間はついてこない。だからその間を常に狙っていく。この考え方は、あらゆる生きる指針になるのではないかと思います。

結局一人で生きていくことはできないし、今この時代にこの場所で生きるためには、何かしら世間に合わさざるを得ないわけだから、すべてを無視するなんて到底無理。かといって、自分の心に湧いてくる何かへの興味やある意味での偏重、こだわり、みたいなものがあなたのアイデンティティやモチベーションを作っているのも事実。それを活かさない手はない。

そうして、その間を狙ったからと言って、もちろんすぐに何かがはまるということはないでしょう。だからそれを狙い続けて、投げ続ける。そうこうしているうちに何かが返ってきて、ああこれだったかと少しづつ自分の居場所ができていく。そんな風にして自分のスタイルを確立していったらよいのではないでしょうか。