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声が裏返る・・特に高い声?そんなあなたに。

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Hiroshi Yoshida

2016-03-21

地声で高い音の限界まで行ったところや、場合によっては母音の切り替わるとき、そしてライブでの緊張、力み、疲れなどでも発生する声の裏返り。これらはすべて、地声の筋肉と裏声の筋肉の調整をうまくできるようにすることで解消できます。

歌における一番の難関。それは喚声点を克服することと言っても過言ではない。

地声の出し方で楽に出る音域というのは決まっています。その地声の限界の音を 喚声点と言います。

この辺もいろいろ考え方がありますが、男性ならミ(mid2 E)くらい、女性ならシ(hiB)くらいが一般的。

このへんの感覚は人それぞれで、みなさんの中でも悩んでいる方はいろいろネットで情報をしらべているかもしれませんが、ボイトレ用語は人によって定義が違っていたりするので、難しいですね・・

僕はどこまでも地声で出ます!という人もいるでしょう。でも厳密には、地声で使われる筋肉と、裏声で使われる筋肉というのは別になっていて、そのバランスを自然に取れる人は、自由にそれらを使い分けたり、場合によっては同時に混ぜてつかったり(ミックスボイス)できるから、切り替えているという感覚がないんですね。

僕も一時期、喚声点よりちょっと上の限界、F#くらいの音が連続で続くと、最終的に意図せず裏返るという状態が続くようになり、何か声帯に問題があるのかと思って病院に行ったのですが何も問題なし。

結局それは出し方の問題でした。こちらの記事に書いているような状態になっていたんですね。

要は、 地声の筋肉を瞬間的に無理やり引っ張りあげて高音を出すことも可能ではあるんですが、無理があるから疲れてひっくり返るんです。

じゃあどうやって声がひっくりかえる癖を治したらいい?

方向性としていくつかありますが、手順立てて息長くやっていくなら、

①まず裏声の筋肉を鍛えること。

ざっくり言えば、地声で出せない音域まで つい地声の筋肉を使って歌おうとする癖がついている状態。

その喚声点の音域、そしてそれより下の音域から裏声の筋肉も使えるようにしていけば、うまくバランスがとれていくわけです。普段は(日本語はほとんど地声で音をつくるといわれています)地声のほうが圧倒的に使うのでその癖がしみついているわけですね。

そして裏声の筋肉は音程を取る上でも重要な基礎になります。こちらの記事も参考に。

②そして、地声と裏声の筋肉を同時に使えるようにしていくこと。

いわゆるミックスボイスの練習に入っていくわけですが、最初はその前段階として、裏声を鋭く、強い音で出せるように練習していきます。こちらで説明している、支えのある裏声、というやつですね。(フースラーメソッドでいうとアンザッツの5番)

この声で、とにかくあらゆる面でのひっくり返り(地声にもどらないように)が出ないように練習すると効果的です。特に、この尖った裏声で喚声点付近の音域、さらにそれより低い音域まで行くととてもひっくり返りやすくなりますが、極力ひっくり返らないように練習します。

同じ音で、母音をいろいろ変えてみると、ひっくり返るポイントが出てきたりします。そこも極力ひっくり返らないように。イエアオウ、という順番でスムーズに切り替えてみましょう。

③そして融合させる。

ここまでくると、自然に自分の声の中でいろいろ新しい感覚を発見しているかもしれませんね。ただし、喚声点付近の音というのは本当にバランスが難しいポイントです。混ざり方によって、自分の好みの音色になるポイントを探して、無理なく歌えるようにするには、自分でいろいろと試行錯誤するしかないと思います。

ここまで説明しておいてなんですが、場合によっては地声を無理やり引っ張りあげる声の方が表現としていい場合もあります。

ただし、その歌い方では長く歌うのは難しい、だからひっくり返る、だから裏声とのバランスをとっていこう、というお話です。

そんなことも含め、自分の歌の可能性を探っていきましょう。

ある程度裏声が強くなったら最終的に融合させる際のヒントになりそうなこととしていろいろあげます。これあくまで、裏声系の声が十分に開発されていないと地声を張り上げて逆効果になる可能性もあるので、”裏声っぽく楽に高音域に移行できてるけど、地声のような強さが出ないな・・という人は試してみてくださいね。
グッと腹圧をかけるような意識。
背筋で引っ張るような意識。
下半身の下へグッと地面に力を込めるような意識。

腹圧、体幹系の意識は、”きばる”ときに出る声、その声帯の閉鎖の感じを利用するイメージでしょうか?(わかりますか?w)

うなじに向かって歌うような意識。
首の後ろに引っ張るような意識。

これらは普段ほぼ使われない、うなじあたりにある声帯を支える筋肉を目覚めさせていくイメージです。
”あ”という口で、”んがっ”っと言ってみる。

この”ng”系の練習は”鼻に抜く”ようなイメージでよく言われるやつですね。さらに、発声で昔からよく言われる喉を開く、という基本もものすごくヒントになると思います。

いろいろなボイストレーニング方法論はありますが、とりあえず手当たり次第に試行錯誤してみる、声で遊んでみる、そんなことの中で、自分の声の出し方の可能性が広がっていくこともありますので、気長に、気楽に、楽しんでやっていきましょう。

でもやっぱり、独学でいろいろな情報を探りつつやっていても、結局自分はどういう状況なのか??というのはプロに聞いてもらうのが一番早い。そういう経験を僕もしょっちゅうして来ました。そして練習を続けていく中でも、自分がどういう風に成長していてもっとどういう風にどこを鍛えていけばいいのかということは、客観的にみてもらわないとかなり難しいと思います。そんな方はぜひ体験レッスンへもお越しくださいね。