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あなたの音楽が商品なら、買ってもらうために手を尽くすのは当たり前。

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Hiroshi Yoshida

2015-07-03

JPOP界では数年前からヒットチャートの上位がアイドルグループに支配されるようになり、そのことに対する音楽ファンからの批判が散見されるようになりました。

AKB商法より悪質多い?あの手この手のアーティストの特典商法は少々やり過ぎ!? – NAVER まとめ

CDが売れなくなっていったために握手券などの特典をつけた商法は批判の対象になっているようですが、僕は個人的には何の問題も感じません。

①そもそもCDというメディアには今時なんの価値もない。

CDというメディアはすでに時代遅れです。データの容量も少なく、今やハイレゾでネット配信される音源より劣化した音質でしか音楽を収録できないのです。モノを所有したい、歌詞カードを読みたい、ジャケットを置いておきたい、というニーズがあるのはわかりますが、それなら代わりにブックレットのような物を販売して、どうしてもCDでしか再生できない環境の人向けに、おまけ程度にCDがついている、という感覚の方が時代にあっている気がします。

②今更CDのヒットチャートにそんなに意味があるのか?

レコード売上のヒットチャートには時代を代表する音楽を反映するというような役割がありました。特典商法で特定のアイドルグループなどが上位を独占することによってそのような見方ができなくなった、というのがまた批判の対象になっているわけですが、方々でネットでの広がり方などの集計も含めたチャートが試みられているように、今はチャートに対する認識が社会的に改まっていく過渡期なんだと思います。

誕生「遊べる」音楽チャート 攻めるビルボード  :日本経済新聞

③音楽の力だけで売ったと言い張る人たちは、本当にそうなのか?

音楽の力を信じ、アーティスト性だけで成功したというイメージの人たちが現在の音楽業界についていろいろ言っているのもわかりますが、僕は音楽の力だけで商業的に成功する人は一人もいないと思っています。

音楽の良さと商業的な成功は全く別物。音楽が良くてかつ、商業的なプロモーションが成功して売れていくアーティストは確かにいると思いますが、その商業的な部分を無視して、自分たちは純粋に音楽だけやってるんだ、的なことを言いたがる人たちには疑問が残ります。

コアな音楽リスナーに受け入れられるためにも、そこに届けるためのマーケティングが必要だし、コアな音楽リスナーが好みそうな要素を盛り込むことが必要でしょう。

それはアイドルの楽曲にアイドルファンが好みそうな要素をてんこ盛りにすることとどう違うのでしょうか??

そしてたちの悪いことに、コアな音楽ファンほどそうやってマーケティングされている物を自分が選びとっているだけということに気がついておらず、”自分のような違いのわかる人だから発見できた音楽だ”、というようなちょっとした優越感に浸っていたりします。

世の中には他の仕事をしながら純粋に自分の好きな音楽だけをやりつづけている人たちもたくさんいます。値段をつけて音楽を売る時点でそれは商業音楽です。商業である限りは、プロモーションなどの努力なしに音楽を売るのは現実的に難しいです。

もしあなたがこれから音楽を売る仕事につきたいとしても、純粋にお金ではなく自分の音楽を追求したいとしても、本当に自分のやっていることに自信を持ち、他に同じように努力しつづけるようなアーティストがいるとしたら、その人がどんなに自分と違うやり方で違うスタイルだったとしても、自然とリスペクトできるはずです。

そして仕事であるからには、お客様によろこんでもらえてなんぼ、お金を払ってでも買ってくれるお客様がいるということは確かにそれだけの価値のあることなのです。

売れない、売れないという前に、売れてるものから学ぶこともあるのではないでしょうか??