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テンションコードとは? コード理論の基礎⑤

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Hiroshi Yoshida

2016-06-25

コード理論の基礎最終章、テンションコードについて。

3和音、4和音の基礎については十分理解した上でじゃないと、この辺は複雑ですのでぜひ下のリンクのページまでじっくり理解してから進んでみてください。

ダイアトニックコードを覚えよう。

ここでは主にJPOP作曲の基礎について解説していますので、あまり複雑なテンションコードの理論は説明しません。なんとなく、よく使われるもの、JPOPの流れの中でもよくあるようなものを中心にただ覚える方が実戦的ですので、理屈抜きに覚えていきましょう。

しかしテンションコードや分数コードには独特のおしゃれな響きだったりふわっとした浮遊感だったり、それでしか出せない魅力があるので、興味がある人はぜひジャズのコード理論を学んでみてください。ネット上にもいろいろ情報があると思います。

ここまでこのサイトで説明してきた基本の部分は全部同じですが、テンションが入ってくるととても複雑で挫折するかもしれませんがw hip-hopやR&Bの中でも、ジャズで使われるようなコード進行がよくネタとして出てくるので、そういうジャンルを突き詰めたい人もジャズを勉強することをお勧めしますよ。

というわけで、基礎知識。

テンションとは、スケールの上で4和音からさらに音を積み上げていった音。

というわけで、上の図のように、4和音からさらにもう一つ、二つと音を積んでいった時の音のことをテンションと呼びます。上の例で言えば、CM7のコードの上にさらにDの音(9度の音)のテンションを積んでいるのでCM7(9)というテンションコードになります。

音というのは12個しかありませんので、どれだけ積んでも12個までなのはお分かりと思いますが、その中でサウンド的に使えるもの(使いやすいもの)とそうでないものがあります。

スケールの中に含まれる音なら当然使いやすいですが、スケールを外れているものも使える場合があり、それをオルタードテンションと言ったりします。

そういうことをいろいろと説明し出すと複雑になるので、実際によく使うものをkey in Cのダイアトニックコードの順にあげてみましょう。

CM7(9),CM7(13)
Dm7(9),Dm7(11)
Em7(11)
FM7(9),FM7(13)
G7(9),G7(♭9),G7(♯9),G7(♯11),G7(♭13),G7(♯13)
Am(9),Am(11)
Bm7(♭5)(11)
とまあ代表的なのはこんなところですが、よく使うと言ってもJPOPではあまり出てこないものの方が多いです。

特筆するなら(9)のナインス系はおしゃれな響きで、シティポップ系とか、ソウル、おしゃれなかつての渋谷系(?)などでは出てくるかも。ボサノヴァなどでも多用される響き。

JPOPなら7度の音と一緒に使われるこういう9thコードより、add9コードの方がよく出てきますね。3rdも7thも入っていない9thが入ってくるコードというのはゴスペルなどでもよくあるし、感動的な響きになるのでバラード系でもよく使われます。

(13)の13thの音も、どちらかというと単純に6thとして使われる方が多いのではないでしょうか。

やたらとG7のテンションが多いのに気がついたかと思いますが、ドミナント7thコードでのテンションはトニックに解決する際に色々と使えます。ジャズでも一番の見せ場?になるところですね。特筆すべきは、ロックでよく出てくる、G7(♯9)。

いわゆる”ジミヘンコード”と言われるやつで、ギターで6弦Eの開放弦を弾きながらE7(♯9)をからめるリフなんてのはド定番です。

あとはJB的なファンク系のカッティングでもG7(9)とかよくつかわれますね。

というわけで、テンションコードについてざっくり説明しましたが、JPOPの中でもおしゃれな響きを追求したいとか、そういう意図がない限りは、基本的なコードを身体に叩き込んでメロディの可能性を探っていく方がポップなものはできやすい、という傾向は覚えておいてください。

あと、そこまで気にすることはないレベルの話ですが、大きな空間で大きな音を鳴らした時に、こういう複雑なコードは音が濁りやすい、ということもなんとなく記憶の片隅に置いておいてください。

クラシック音楽ではこういったテンションというのが長らく使われてこなかった歴史がありますが、それというのも、ホールいっぱいに音を響かせる上で、その濁りというのがあまりよく聞こえない、というふうに思われてきたからなんですね。

ある意味、価値観が変わって今はなんでもありになったのでそこまで気にすることはないんですが、僕の個人的な意見からしても、単純な3和音を使ったシンプルなロックとかポップスの方が、大きな会場で聴いた時にすべてがバーンとくるというか、はっきりすっきり響きやすいという気はしています。

なんとなく、テンションを多用するジャズとかって音楽的にも大きな会場が似合わないっていう感じ、わかりますよね?

音楽としてのスタイルや嗜好がどうこうという問題以前に、音の響き方というのも、研究しつくされてきて今の和音理論ができてきたわけなので、その辺も少し意識してみると作曲の幅が広がるかもしれませんね。