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なんでもない細部を、なんども繰り返してみると。

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Hiroshi Yoshida

2018-12-13

神は細部に宿る、とは芸術においてよく言われることですが、歌う時に細部をなんとなく流している人が多すぎて・・

その細部を認識しない限り、先には進めない。

歌うときも、派手に聞かせる部分や、高い音が出るか、出ないかみたいなことばかり意識して、歌の入りの一音目や音の切りぎわなどの細かいニュアンスをなんとなくやっている人が多いですね。

まず、歌を上達しようとする上では、 徹底的にお手本の真似をするということが大切なのですが、そういう部分はなんとなく聞き逃しがち。

しかし、素晴らしいシンガーは一言目で会場の雰囲気を変える声を持っていますし、音の切りぎわのニュアンス、余韻でグルーヴも大いに変わってきます。

例えばAメロ、Bメロの微妙なテンションの違いをどう表現しているか。

感覚的に自然に掴める人もいますが、どうしても自信がない人に限って、全部を綺麗に歌おうとするあまり全部が平坦になりがち。声が一種類しかないと、聞いている人はすぐに飽きてしまうものです。

泣きながら、嗚咽するような感じで歌っているニュアンスなのか、スマイルの感じで口を開いて歌っているのか。息の多い優しく語りかけるような声なのか、ハリのある遠くに飛ばすような声なのか。そういう表情の違いを声で表現できればより聞いている人を引き込むことができますよ。

表現の引き出しは、やっぱりコピーから。

そういう自分なりの表現を見つけていく上で大切なのは、やっぱりいろんな歌手のニュアンスをコピーすること。しかも、最初に言ったように中途半端でなんとなくコピーではなく、徹底的にコピーすることです。

1コーラスだけでもいいので、細かいニュアンスを徹底して真似して見ましょう。なんども聞いて、歌って録音してみて、全然違うなあ、の繰り返しになると思いますし、誰か指導者がいないと間違った方向で練習し続けることになるかもしれないので注意が必要ですが

コピーして、同じフレーズをずっと練習してると、だんだん自分でも本物に近づいてくるのがわかると思います。そうしてちょっとした成功体験、うまくなった、という自信が芽生えると、基礎力がどんどんと上がっていくんですね。

その細部をなんとなくやり過ごしていると、なんとなく練習してきたけど、全部なんとなくしか上達しないので手応えがない。それは成長につながりません。

難しいフレーズはゆっくりから練習する、メトロノーム的なものも使ってみる、リズムを体のどこかで一緒に刻みながら練習する、というような基礎も確認しつつ、根気のいる作業ですが、そういうことを積み上げないと本当の実力は身につきませんよ。