Hiroshi Yoshida
2015-11-15
音楽やアートにルールはありません。何かのジャンルやスタイルが生まれ、それが発展していく中でそれをうまくやる人たちが現れ、”正しいのはこっちだ”とか”あんなのは邪道だ”とか、いろんなことを言い出しますが、そもそもそういう人に限って、そのスタイルのオリジネイターではなかったりします。
もちろん、言葉と同じように、特定の文法があってこそ、コミュニケーションが取れるので、そういう意味ではルールは必要です。例えばJPOPの世界で活躍しようと思うなら、やっぱり一般の人がぱっと聞いて理解できる形につくれるだけの基礎はあったほうがいいと思います。
あくまでそれができた上で、その文脈をちょっとずつ壊すように新しいものを追求していってください。
人は新鮮な刺激を常に探しています。ありきたりで、どこかで聞いたことのあるようなものを、すごくクオリティ高くやれるようになる、というのは基礎力として大切ですが、それだけでは世に出れないことのほうが多いです。
そういうものは、なんか古いね、と言われてしまうことが多いんです。
プロの楽器奏者が作った曲を聞いた時などに、あまりにクオリティを追求するあまり、過去の誰かが作り上げたスタイルを見事にやってのける、そのクオリティこそが音楽の良さだ、というふうな価値観になってしまっているなと感じる時があります。
それはそれで悪くないと思いますが、こと、世の中に注目されようと思ったらやっぱり
がないと、難しいのです。
昨今のEDMのように、テクノロジーを利用して生まれる音楽というのは新しい刺激を与えてくれるでしょうが、既存の楽器でも、新しいスタイルで演奏する人たちが現れたり、歌についても歌い回しやフレーズの流行り廃りは常にあります。
だから、少しうまくなって、いろいろできるようになった時、自分はできる、これが自分のスタイルだ、と思うのはまだまだ早い。一生かけていろんなことを吸収し、新しいものを追求していけるはずですよ。