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DTMは普及しても、”編曲”のハードルは変わらず高い。

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Hiroshi Yoshida

2017-01-12

DTMが普及して、ニコ動などで楽曲がたくさんアップされているので、ボーカリストの人たちでも、自分もDTMで編曲までやってみたい、と考える人は多いでしょう。PC一つあればいろいろな音が出せる時代、なんとなく編曲も簡単にできそうな気がしますが、やっぱりそこはそんなに簡単ではなくて・・。

編曲は、あらゆる楽器を知っているまさにプロの技。

もちろん、いろいろなレベルがあって、あんまり楽器のことをしらない、音楽理論も知らない人が作ったアレンジでも素晴らしいものもあります。

ヒップホップ、R&Bなどのトラックメイカーの感覚で斬新なものができることもあるので、一概に言えることではないのですが、

普通の人が普通に思いつくようなポップス、特にJPOPのアレンジというのは高度な職人技であることが多くて、なかなか簡単に真似できなかったりします。

自分でオケを作っていて、なんか足りないな?なんかこの音変だな?と思うようなポイントがあるとしたら、そもそもコード進行が変なのか、楽器同士の音域が変なのか、いろいろな面からわかる必要があります。

それも全部経験。理論である程度のことは解決できても、アレンジというのは結局センスと経験値の集合体でもあるので、ちょっとやそっとではプロのレベルまで達せないことも多いです。

例外があるとしたら、ピアノなどを小さい頃からやっていると、音感、ハーモニーのセンスが鍛えられているので、この和音はおかしいな、とすぐ見つけることができるかもしれませんね。

楽器それぞれの、その楽器らしいフレーズというのがある。

楽器にはその楽器の持つ歴史、役割などがあって、その楽器が一番美味しく聞こえるフレーズなどが必ずある。ベースにはベースらしいベースラインの作り方があるし、ギターにはギターなりの和音、奏法がある。

そんなことを一つ一つ理解していないと、あれ、なんかこれおかしいな?ということになりがち。それを全部勉強していくのってとてもハードルが高いですよね・・

ある程度、音楽理論の基礎がわかっていて、メロディとコードだけは自分のイメージ通りにつけられる、という人なら、思い切ってアレンジに詳しい人に全部お任せしてみるのもいいと思います。

プロのシンガーソングライターでも、自分でアレンジまで全部やるという人は稀で、しかもDTMで完全なアレンジまでつくるという人はもっと少ないです。

ほとんどは、もっと音楽に精通したプロデューサーがついて、さらにそのプロデューサーがプロのミュージシャンを集めてプレイしてもらった音源がリリース音源になっていたりします。

だから、普通にバンドサウンドを想定しているようなものなら、バンドを長年やっていてアレンジもできるような人をみつけて頼む方がクオリティも高くなるでしょうし、自分の曲を客観的に見つめ直す機会にもなるでしょう。

ジャンルが変われば全部自分でできるものもあるかも?

とはいえ、そもそも打ち込み系の独特の音楽であれば、あえて自分で独特の世界を作ってそれを売りにするというのもアリですね。

でも、それでも楽器の特性とかはわかっておいた方が可能性が広がると思います。

僕の尊敬するアレンジャーさんも、シンセの音を使うのでも、ホーンとかストリングスのフレージングを意識して音色を使い分けていたりします。

やっぱり生楽器のサウンドというのは、長年積み上げられてきた歴史があるので、誰の耳にも馴染みやすいものになるんですね。

というわけで、シンガーソングライターの人はなんでも無理して自分でやろうとしないで、信頼できる共同プロデューサーを見つけることも、一気にクオリティを上げるきっかけになると思いますよ。 LIVEARTISTのレッスンでも相談に乗ります!