Hiroshi Yoshida
2017-07-28
作曲でも、曲のキーを決めるという作業はとても大切です。歌を歌う上ではなおさら大切ですよね。でもどうやってキーを選んだらいいのか悩むところ。考えられるヒントをあげてみました。
キーを決めるのは結局のところ、音を発する楽器がその曲にあった音で鳴るキーを探す作業だと思います。
この一連のYahoo知恵袋でのいろんな人たちの考察はとても面白いですね。たとえばなんとなくイメージでシャープ系のキーはシャープな感じ、明るい感じがする、とか。プラシーボ的な部分も多くあると思います。
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/1958866.html
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/164977.html
純粋にサイン派だけで構成された曲をいろいろキーを変えてブラインド視聴会して見たらどういう結果になるんでしょうかね?多分トップノート(メロディで一番高い音)が一番高いところで演奏されたキーが一番明るい!となって、低いところが暗い、となるんでしょうかw
この話、ひょっとしたらキーの概念を理解するヒントにもなるかもしれないので、詳しく説明したら
Cメジャーキーの曲で、メロディのトップノートがピアノの真ん中のCの曲があるとして、それを最初に聞かせ
だんだん下げていって次は
Bメジャーキー
Bフラットメジャーキー
・・・
Dメジャーキー
Dフラットメジャーキー
という順番に聞かせたら、一番明るいのはどれでしたか?と聞かれたら大抵の人は一番最初のCメジャーと答えるのでは?(そうでない人ももちろんいるかもしれません。)
しかし、同じメロディをGメジャーキーで、トップノートを真ん中より上のGにして演奏して、
だんだん下げていって
Gフラットメジャーキー
Fメジャーキー
・・・
Aメジャーキー
Aフラットメジャーキー
という風に聞かせたら、一番明るいのは最初のGとなる可能性が高い。
つまりは、どうしても音の高低の問題で、高い方が明るい、エネルギッシュ、低い方が暗い、リラックス、みたいな方向に聞こえるのは間違いないし、特に歌においてはそうなりやすい。
なぜなら、歌で高い音を出そうと思うと大抵の人はより一生懸命活動的に歌わなければ出ない(ことが多い)ので、より元気、アグレッシブ、勢いがあるように聞こえるんですね。歌のキーの設定は発声の問題も大いに関わっていて、
裏声で全部歌わなければいけないような音域になると逆にパワー感は無くなってしまう。
男性ならピアノ真ん中Cのすぐ右のGフラットあたり、女性ならBフラットあたりが、大体地声で張れる限界くらいの感じです。ミックスを自由に使えるような人ならその限りではありませんが。
楽器なら、知恵袋にあるように、弦楽器なら開放弦が使い易いキーが美味しく響いたりするポイントはたくさんあります。ギターでいうなら、Gのキーなんかはローポジションの弾き語りで簡単で美味しい響きが得やすいですよね。
そんなこんなで、楽器それぞれに一番美味しく響く音域があって、それをうまく組み合わせられる音域にハマるのが一番適したキーの設定方法だと思います。
歌のキーって難しいですよね。楽に歌える音域にまとめると無難に歌えるけど、あんまり楽そうに歌ってると一生懸命感が出なくてなんだか伝わらないということもあるし
低いキーで余裕でリラックスした歌い方もあれば、高いキーでミックスっぽく優しく歌うことで得られるリラックス感もある。本当にそれは歌い方と曲調のバランス。歌手それぞれに得意な美味しい歌い方があって、そこをイメージして曲をセレクトしたり、作曲したりしていくのがベストですよね。
アレンジも当然、一番聞かせたいメインの楽器に合わせてボイシングが変わったりしていきます。大体の楽器の音域を理解していれば、例えばベースが極端に高いラインを弾き続けているのは意味がない、ということも感覚的にわかるようになるでしょう。
地声を引っ張り上げてキーをあげて歌い続けるのはそもそも無理がある、ということは何度もブログに書いてますのでその辺の知識をもってミックスボイスの練習は続けつつ、だんだん感覚がつかめるようになったらキーを変えて歌って見たりするのも新しい魅力が出せるきっかけになるかもしれませんね。