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本当に良い作品は意外に、あなたにとって”普通”のもの。

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Hiroshi Yoshida

2016-06-07

僕の少ない経験の中からで恐縮ですが、何か世に出たり、評価されるものって、意外と自分にとっては普通のものだったりします。みなさんも同じようなことありませんか?それが何でなのか考えてみました。

当たり前にできること。そこに自然で完璧なバランスがある。

何かを気負ってやろうとすると人は大抵失敗します。ホームランを打とうとすればするほど空振りします。数学の答えを出そう出そうとするほど焦って時間だけが過ぎます・・

そんな経験ありますよね。全てにおいて、やろうやろうとするその意志は実は邪魔なんですね。スポーツでは本当に集中してパフォーマンスできる状態をゾーンに入るとか言ったりしますよね。

ただひたすら目の前にある作業に没頭しているとき。人は意志すら忘れているものです。だから集中しているときは”早く終わらそう”とか、”いいものにしよう”とか思わなくても、あっという間に時間が過ぎていって、良い、悪いというより、やり遂げたという満足感があるんですね。

なんとなく、そんなときにこそ良いものができている気がします。何かをどうかしようとしていじくりまわしたりしたわけでもなく、自然に答えが出てくる感覚というか・・・

だからなにか力作、というような言葉はしっくりこないんですね。すんなり出来た。確かに時間は過ぎたけどすんなりできたというような感じ。作ったプロセスさえ覚えていないような。

そういう集中状態に入れるかどうかというのは一つ大切な要素だと思います。

普通にできる=実力。だから実力以上のことはやろうとしないこと。

これは基本的なことですが、大切なこと。高いハードルを課すつもりが、常に空回りの状態になってしまっているだけの人が結構います。本番で気負ってなにかをやろうとしても、だいたい失敗します。練習で当たり前にできることを増やしていく以外に成長する道はありません。

これは作品作りにおいても同様な気がします。レベルの高いものにしたい!という思いで、難しいコード進行や覚えたてのフレーズをやたらつかってみたくなったりする気持ちはわかりますが、だいたいうまくいきません。

昔僕も洋楽のヒットチャートの曲みたいな曲を作ってみるということをたくさんやったのですが、やっぱりその場で聞いて作ろうとするとただ取って付けたようなおかしな曲になることが多いです。

もし、そういう曲をつくりたいのなら、普段から洋楽のヒットチャートを聞き、傾向を知り、コピーして少しづつネタを増やしていけば、そのうち自分の中で完全にそういうエッセンスが消化されて自然に洋楽っぽいものができるようになるでしょう。逆にそういうやり方じゃないとだいたいはうまくいかないんですね。

普通の作品をたくさん作るうちに、名作がぽろっとできる。

だからやっぱり、気負わず、パフォーマンスや作品作りを習慣にすることが大切。プロのステージを見て、神業だな!!あんなことよくできるな!!と思うことはたくさんありますが、そういうことも、本人にとっては普通なんですね。当たり前ですけど。

それだけ回数をやってきている人しか生き残りませんし、名作をたくさん生み出すためにも、もっとたくさんのボツ曲が必要です。

この曲を作ったとき”良い曲を作りたい!”という気持ちが強かったから名作が出来た!ということもあるかもしれませんが、基本的にはそういう気持ちと作品の質は関係ない、とすら僕は思います。

ただ、感情が揺れ動いているときは何か特別なものができるような気がしますが。

長い目で、良い曲を作りたい!という気持ちを心の奥底にはずっと持ち続けて、あとは全て忘れてただ音楽に没頭する。そのうちになにか良いものができてくるはずです。