隠しているあなたにこそ、輝くものがある。

アーティストとして活動してるのに、いまいち吹っ切れない人にとって、いちばん足かせになっていること、
それは“恥ずかしい”という感覚。
不思議なもので、ステージに立って歌うなんてそれだけで相当恥ずかしいことなのに、その後に及んでこんな曲は恥ずかしいとか、こんな歌詞は恥ずかしいとか、そんな感覚がじゃまして、どうも自分をさらけ出せてないなーという人は多いです。
そういう自分もかつてそうだったのでとっても良くわかります。さらけ出すのが怖いので、いわゆるかっこいいとされるアーティストのマネばかりしてしまったり。
僕の「アイデンティティ」という曲で、“借り物のスタイル着こなしてただ空っぽの自分隠してる”という歌詞を書いたのですが、まさにそういうこと。
でも実際には、空っぽの人なんて一人もいなくて、あなたが経験してきたこと、あなた自身の持っているものの中に、みんなが共感してくれることや、感動してくれることが必ずあります。
口にするのは恥ずかしいような経験だったり、失敗、つらかったこと、そんなことを口にしてみると、意外にみんな似たようなことを経験していて、それが深い共感を生むということがあります。みんな結局同じなんですね。
技巧的な部分にばかりこだわって、内容が伝わってこないみたいなのは、相当なレベルな技巧なら興味をもってもらえるかもしれませんが、中途半端だと何がしたいのか全くわからないつまらないものになりがちです。
そうなるくらいなら、あなたの人となりが伝わるような、パーソナルな経験をシンプルに歌詞にしてみるとか、そういう方が共感を得たりしますよ。
また自分の曲で恐縮ですが、僕もかつては、恥ずかしさもあって歌詞を抽象的に何を言いたいのかはっきりとはわからないような感じで書いていたのですが、『Day by day』という曲を作った時に、その時の焦りや苦悩の気持ちをストレートに表現してみようと思って作ったら、いろんな人に共感してもらえて、この動画が結果として後に大きなチャンスをいただくきっかけになりました。

もちろん抽象的な歌詞でもいいものはたくさんあります。要はちゃんと伝わるものになるかどうか、という問題ですね。

魅力的なものにするためには・・大体、めんどくさいけどさ。

最近とても気に入っている言葉があって、それは所ジョージさんが世田谷ベースでふと言った言葉。

”めんどくさいことが幸せなんだよ。”

現代社会って、何でも便利になっていって、とにかく簡単に、早く、それなりにいい結果が出ることに甘んじて進んでいる気がします。でも誰もそれを心の底から望んでない。わかっちゃいるけどやめられない。だって簡単だもん。楽だもん。

例えば、ファーストフードって美味しいですよね。でも、心の底からああ幸せだなあ、と思える人ってどのくらいいるんでしょうか。

僕はちょっとした健康オタクだった時期もあって、いろいろ勉強したのですが、僕の考えでは、ファーストフードみたいな高カロリーの糖質の多い食べ物を、”美味しい”と感じるとしたら、それは脳みそに糖分という麻薬を注射して気持ちよくなっているのと同じようなもので、その中毒になってずっと食べ続けたら・・みなさん結果は想像できるでしょう。

ほとんどの人は、悲しいかな、理想的な人生を歩むのではなく、その辺にある手頃な幸せに手を伸ばして生きるのです。

さて、アーティストとしての話に置き換えてみると、考えるべきことがこの点についてはたくさんあると思います。

あなたがファンに提供しているアートは、即席で出来上がったありきたりでそれなりのものでいいのか?

それとも細部までなんども試行錯誤をし、手間暇かけて練りに練ってつくられたものがいいのか??

イメージ的には、後者の方が素晴らしいに決まってる、と思われるでしょうが、これはビジネスとして考えると、とても難しい問題で、場合によっては即席のそれなりのものでも、十分成り立つこともありえるのです。

ファーストフードの例で言えば解りやすいかもしれませんが、一流の料亭よりファーストフードチェーンの方がビジネスとしては規模も大きく、利益も上がっているという例は十分にあります。

ただ、それでも注意したいのは、ファーストフードはファーストフードで、練りに練られてつくられているから売れるんだ、ということを忘れてはいけないのです。決していい加減に作られているわけではありません。

あなたがあくまでどこを目指したいか、ということにすべてはかかっていて、どんな方向性でも突き詰めていけばいいものになる可能性は十分にあるのです。

すなわち、タイトルにもありますが、めんどくさいことをちゃんと突き詰めてやったものはやっぱり魅力的になるんですね。

簡単にできないからこそ、価値がある。その辺の意味を履き違えないように、自分の理想を見つめていきましょう。

日本のボーカリストはリズムの意識が弱い??

僕はギターを練習した時に初めて、メトロノームを使って練習することの大切さに気づき、そこから“自分の中にリズムの軸がないと、リスナーにリズムを感じさせられないんだ!”いうことを学びました。

やっぱりそこまでは、自分のリズムに対する意識は弱かったと思います。楽器奏者なら当たり前のようにメトロノームを使った練習をするものですが、ボーカルはそういう習慣がない人がほとんどですよね??

海外のR&Bを聞いていると、トラック(オケ)の音数が極端に少ないようなものでも、曲としてとてもグルーブしていてなにか足りないというような感じがしないのに、

同じようなトラックで日本人が歌っていると途端にスッカスカに聞こえたりすることがあると思うんですが、それはやっぱり歌のグルーブの力じゃないでしょうか?

うまい人は歌だけで強力なグルーヴを生み出して、全体を引っ張ることができるのです。

グルーブを生み出すために必要な土台が、メトロノームで刻むように、ある一定のパルスを自分の中で保てるスキルなんですね。それがリズムの土台になります。

その土台のうえで、ジャストのタイミングで入ったりちょっと遅れたりしながら自由に動き回れることができれば、もっと歌がうまくなるし、歌っていて心地よく、楽しくなります。

多くの日本人は真面目な人ほど、とにかくジャストで入ることばかり意識しがちになって、力んでツッコミ気味になったり、合ってはいるけどグルーヴはしてない…という人が多い気がします。

しかしながら、とりあえずの練習としては、メトロノームにジャストで合わせられるようになる、というのが基本です。ジャストで合わせられるということは、意図的に外すこともできるということです。

なれるまでは常に、一人で練習するとき何をするにもリズムを感じながらやったほうがいいです。カラオケならオケのリズムがあるからまだいいのですが、別にコチラに何か合わせてくれるわけではないので、合わせようという意識が弱くなってしまいます。

これが誰かと一緒にアカペラ等やると、きっちりみんなでリズムも合わせなくてはいけなくなるので、意識が変わってくるのですね。

メトロノームを使って練習する、というのが酷であれば、足で一定のテンポを刻みながら歌うとか、ゴスペルのように2拍4拍で手拍子を入れながら歌うとか、曲調によって常にそのグルーブを感じながら、歌のラインだけで、どういうリズムの曲なのかということが伝わる歌を歌えるようになりましょう。

メトロノームってなれるまではほんとにめんどくさいんですよね…わかります。でも、慣れると絶対あわせて練習する方が楽しいですよ。

ルールも正解もない。みんな新鮮なものを求めてる。

音楽やアートにルールはありません。何かのジャンルやスタイルが生まれ、それが発展していく中でそれをうまくやる人たちが現れ、”正しいのはこっちだ”とか”あんなのは邪道だ”とか、いろんなことを言い出しますが、そもそもそういう人に限って、そのスタイルのオリジネイターではなかったりします。

もちろん、言葉と同じように、特定の文法があってこそ、コミュニケーションが取れるので、そういう意味ではルールは必要です。例えばJPOPの世界で活躍しようと思うなら、やっぱり一般の人がぱっと聞いて理解できる形につくれるだけの基礎はあったほうがいいと思います。

あくまでそれができた上で、その文脈をちょっとずつ壊すように新しいものを追求していってください。

人は新鮮な刺激を常に探しています。ありきたりで、どこかで聞いたことのあるようなものを、すごくクオリティ高くやれるようになる、というのは基礎力として大切ですが、それだけでは世に出れないことのほうが多いです。

そういうものは、なんか古いね、と言われてしまうことが多いんです。

プロの楽器奏者が作った曲を聞いた時などに、あまりにクオリティを追求するあまり、過去の誰かが作り上げたスタイルを見事にやってのける、そのクオリティこそが音楽の良さだ、というふうな価値観になってしまっているなと感じる時があります。

それはそれで悪くないと思いますが、こと、世の中に注目されようと思ったらやっぱり

今、この時代に、新鮮に感じてもらえる何か。

がないと、難しいのです。

昨今のEDMのように、テクノロジーを利用して生まれる音楽というのは新しい刺激を与えてくれるでしょうが、既存の楽器でも、新しいスタイルで演奏する人たちが現れたり、歌についても歌い回しやフレーズの流行り廃りは常にあります。

だから、少しうまくなって、いろいろできるようになった時、自分はできる、これが自分のスタイルだ、と思うのはまだまだ早い。一生かけていろんなことを吸収し、新しいものを追求していけるはずですよ。

 

夢中なら、無敵モード。

何かに夢中になって、時間さえ忘れてた、という経験を誰もがしたことがあると思います。

そんなとき、人は最も自分の能力を発揮できている、最強モードになっているんだと思います。

人は興味のあることを最も効率よく吸収できるといいますが、いやいややらされている状態よりも、何かにハマってしまっている状態のほうが学習が早いのは当たり前ですね。

僕も何かの歌をうまく歌いこなしたい!と思ったり、もっとここの部分をいい感じに歌いたい!と熱中してしまって、気がついたらずっと練習してしまっていた、ということはよくあります。

結局、人は試行錯誤の繰り返しでしか成長できません。やりたい、けどできない、また挑戦、失敗、でもやりたい・・その繰り返しで少しずつ成長するんですね。

それをものすごい勢いで繰り返している状況こそ、夢中になっているという状況ではないでしょうか?

そこで大事なのは、同じことの繰り返しでは、夢中にはなれないというところです。

一つクリアしたらまた次、次といけるから熱中できるのであって、すでにクリアできた全く同じ課題に取り組むのはなんだかつまらないと感じてしまうものです。

ただ、例えば基礎練習として同じスケールの上がり下がりをやるとして、

なんだこれ毎日やってるしつまんないな・・

というのは違います。同じ練習を通して、今日はもっと楽に歌えるようにとか、もっと遠くに飛ばせるようにとか、チャレンジする要素を入れることで、どんな単調な練習でもやりがいあるものになるし、新しい可能性を発見できますよ。

 

 

 

 

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