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完璧主義が成長を妨げる。

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Hiroshi Yoshida

2015-11-10

初心者にありがちな姿勢として、もっとうまくなって、完璧にできるようになったらライブしよう!というのがありますが、僕はいつも、そういう人に”先にライブを決めてしまった方がいい”と言います。

初心者にありがちな姿勢として、もっとうまくなって、完璧にできるようになったらライブしよう!というのがありますが、僕はいつも、そういう人に”先にライブを決めてしまった方がいい”と言います。

もちろん、いきなり武道館でライブができるわけではありません。現実的な範囲で、ライブハウスのブッキングライブでもいいし、小さな発表会でもいいので、期限を切って、そこまでに何かを見せれるように必死で練習する、という意識をもつことが大切ということです。

”習うより慣れろ”という言葉もあるように、自転車に乗るのに”まず右足を踏んで、右に倒れそうになったら左に体重をかけて〜”というふうに言葉で延々説明を受けたところで、乗れるようになる人は一人もいないし、自転車のないところでそれを延々シュミレーションしたところで、実際に乗ってみないことには何にもならないのです。

いいライブができるようになるためにはライブをやるのが一番の練習。

うまく歌えるようになったら一生一人カラオケだけで自己満足でいい!という人も中にはいるかもしれませんが、やっぱり音楽はたくさんの人と共有してこそ感動が何倍にもなるもの。

人前に出ることを避けていたら、音楽のもっと本質的に重要な部分さえわからなくなって、ひたすら盲目的に自分のこだわりを追求してしまったりします。

それはそれで面白いものになったりもするので、そういう方向性でいきたいのなら好きなだけ追求したらいいと思いますが、僕の個人的な経験からいうと、もっと広い世界へ意識を向ければもっと素晴らしい世界が見えると思います。

僕も昔から家にこもってひたすらものを作ったりするのが好きなタイプだったので、ずっと人に聞かせることもない曲を作っていたりもしました。ひたすらマニアックなものを追求して、素晴らしいと思えるものができたら発表しようと思っていたのです。

でもニューヨークに旅行に行った時にハーレムの教会で見たゴスペルに衝撃を受けました。決してみんながみんなうまいわけではない黒人たちの歌は今まで見た何よりもエモーショナルで、自分が家にこもって追求していた音楽と全く違う音楽のあり方、心が震えるような世界がそこにあったのです。

僕はそれから歌を歌うようになりました。人前で歌うなんてカッコ悪いとすら思っていた時期もあったのですが、やっぱりたくさんの人と音楽を、感動を共有したいという思いが僕の中に確かにあった。

もちろん、何かの音楽ジャンルを否定したいわけではありません。どんな音楽性でもいいのですが、それをたくさんの人に聞いてもらう活動、共有しようとする活動は、常に続けた方がいいということを言いたいのです。

死んでから作品が発見されて、それが評価されて広まるというようなこともアートの世界ではよくありますが、ライブに生きる音楽家なら、やっぱり生きているうちに、その喜びを味わってほしいなと思います。

“ライブ”すなわち生きていることこそが、あなたの一番の作品なのだから。