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”逃げるが勝ち”の戦術も、時に生き延びるために必要な決断。

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Hiroshi Yoshida

2016-10-24

つらいことから逃げるな、努力し続ければ必ず報われる、もちろん、状況によっては真実でしょう。しかし、それを履き違えて行き過ぎた結果、取り返しのつかないことになることもあるというお話し。

生き物は、過剰なストレスで死ぬ。

過労死やいじめ、パワハラなどによる自殺などが相次いでいる昨今、そこまでのレベルに至らないまでも、少なからず理不尽な状況で、ストレスを抱えながら生きている人は多いでしょう。

みんなそれぞれ矛盾を抱えながら、少し自分を騙したりもしながら、それでもそういう風にしか生きるすべがない現状を恨みながら、どうにかこうにか生きていっているのではないでしょうか。

そんな社会のなかで、なんでも前向きに、理想だけを追求してパワフルに生きる、そんな自己啓発系の情報も溢れかえっていて、それが余計に、なかなかうまくやれない自分を責める原因になって悪循環に陥る・・

真面目な人ほど、もっとこうするべき、ああするべき、ということを抱え込んで自滅してしまう。そんな悪循環がある気がします。

その根本に、お金、そしてお金がないと生きられない、という現代社会の仕組み(それは社会が作り出した幻想ですが)があるように僕は感じていますが、

そんな状況に追い込まれた時、思い切って そこから逃げるということも大切。

どうしても会社がつらい。学校がつらい。考え方が合わない。納得できない。先が見えない。どうしてもそこに行きたくなくて、夜も寝れない、体調までおかしくなる、鬱になる・・

そんな時は、もう何も考えず逃げるというのも、状況を好転させるきっかけになると思います。

もちろん、その状況を打破すべく立ち上がって、俺がなんとかしてやる!!というエネルギーがある人は存分に戦ったらいいでしょう。

でも、そもそも仕事の設定がおかしいだろ?っていう状況がたくさんあると僕は思うんです。

逃げたいと思うことは、危険を回避する人間の本能。

【熊本大地震】逃げるという選択をした坂口恭平さんのツイッターがいろいろ考えさせられる

ちょっと話のレベルが違う、と思うかもしれないけど、これと似たような状況って、日常の中に誰にでもあると思うんです。

人間は自分を取り囲む環境に無意識に反応して、適応しながら生きていきます。だから、そもそもその環境が異常だ、ということにだんだん気付きにくくなる。

おかしな設定の中でたまたま生き延びれた人たちは、それができない人たちを根性がないとか、ダメな人間だとかいう。それでますます生きづらくなる人たちが出てくる。

危ない、やばい、と思ったら逃げる、って当たり前のことなんだけど、 それまでの常識や習慣でそこにいること以外考えられなくなってしまっていて、なかなかそこから抜け出せない。

真面目で素直な人たちほどそこに陥りやすくなるという現実があります。

音楽、芸術は、ずっとそんなやり場のない感情を受け止める場所でありつづける。

夏目漱石の草枕の冒頭の有名な文、

智に働けば角が立つ。情に棹させば流さ れる。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。 住みにくさが高じると、安い所 へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟つた時、詩が生れて、畫が出來る。

行き場のない感情の拠り所として、歌や芸術はあり続けるのだと思います。ある意味、それは”逃げ道”だという人もいるでしょう。その通り、逃げ道でもいいじゃないですか。それは人の道を外れる道ではないし、むしろ人の心を取り戻すための道ではないでしょうか。

なんだか散漫な話になってしまいましたがw とりあえず、行き詰まって疲れてしまったら、歌でも歌ってみませんか?